窓の遮熱フィルムは貼るべき?断熱フィルムとの違いと注意

遮熱フィルムのパッケージに並ぶ「遮蔽(しゃへい)係数」「可視光線透過率」「赤外線カット率90%」といった数字は、それぞれ別のものを測った値です。
赤外線カット率だけが大きく書かれた製品が、部屋の暑さをいちばん下げるとは限りません。
さらに厄介なのは、網入りガラスや複層ガラスには貼れない製品があることで、対応外のガラスに貼ると熱割れを起こす恐れがあります。
本記事では、遮熱フィルムの数値表記の読み方・ガラス種別ごとの可否・失敗したときに起きる実害を解説します。

すまいの四季 編集部
結露・すきま風・凍結・雪・雑草・虫・暑さ・台風まで、季節ごとの住まいの困りごとを市販のグッズで手当てする方法をまとめています。製品の仕様はメーカー公式と公的機関の情報で確認し、確認時点を添えて掲載しています。
※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
遮熱フィルム 窓に書かれた数字は3種類ある
遮熱フィルムは、窓ガラスの室内側(製品によっては屋外側)に貼って、太陽の熱と光の一部を反射・吸収するフィルムです。熱を止める性能を表す数字はおおむね3つあり、それぞれ測っている対象が違います。
| 表記 | 何を測った値か | 数字が大きいと |
|---|---|---|
| 可視光線透過率(%) | 目に見える光をどれだけ通すか | 室内が明るいままになります |
| 赤外線(IR)遮蔽率・カット率(%) | 熱として感じる近赤外線をどれだけ止めるか | 日射のジリジリ感が減ります |
| 遮蔽係数・日射熱取得率 | 日射熱の総量をどれだけ室内に入れないか | (遮蔽係数は小さいほど熱を入れません) |
赤外線カット率と遮蔽係数は連動しません。
日射の熱は近赤外線だけでなく可視光にも含まれているため、赤外線だけを大きく止めても、遮蔽係数はそれほど下がらないことがあります。
売り場で数字を比べるなら、日射熱の総量を扱う遮蔽係数か日射熱取得率のほうが、部屋の暑さに近い指標です。
ただし家庭向けの薄手フィルムでは遮蔽係数が書かれていない製品も多く、その場合は可視光線透過率と赤外線カット率の組み合わせから性格を読むことになります。
遮熱・断熱・UVカットは止めているものが違う
同じ棚に「遮熱」「断熱」「UVカット」のフィルムが並びますが、狙いが別です。
遮熱は夏の日射熱を入れないための機能、断熱は室内の熱を外へ逃がさないための機能で、働く方向が逆になります。
夏の西日対策で買うのに断熱寄りの製品を選ぶと、期待した方向の効果になりません。
UVカットは紫外線に対する性能で、日焼けや家具・畳の色あせを抑えるための数値です。
紫外線は日射の熱のごく一部にすぎないので、UVカット99%と書かれていても、それだけでは部屋の暑さは変わりません。
窓用のフィルムには断熱をうたう製品もあり、ニトムズの窓ガラス透明断熱フィルムは窓に貼って二重ガラス構造を作り、シリカゲルで内部の結露を抑えるとしています。
こちらは冬の結露と冷気に向けた作りで、夏の日射対策とは目的が別だと考えてください。
「遮熱」と書いてあっても外付けには勝ちにくい
フィルムはガラス面で熱を受け止めるため、ガラス自体が温まった分の熱はある程度室内に伝わります。
窓の外で日射を止めるすだれやシェードと比べると、同じ日射量に対して室温の下がり方は控えめになりがちです。
窓の外に取り付けるものと室内側のフィルムのどちらを先に検討するかで悩んでいるなら、窓の暑さ対策の使い分けで、シェード・すだれ・フィルムそれぞれが向く条件を解説しています。
自分の窓に合う遮熱フィルムは、ガラスの種類から決まる
好みの色や透過率より先に、貼る窓のガラスが何かを確かめてください。ここを外すと、効き目の話にたどり着く前に熱割れのリスクを抱えます。
確かめ方は単純です。
窓を開けて小口(ガラスの端)を見て、ガラスが2枚あって間に空間があれば複層ガラスで、金網が入って見えれば網入りガラスです。
1枚だけならふつうの単板ガラスで、表面がザラザラして模様があるなら型板ガラス(凹凸ガラス)になります。
| ガラスの種類 | 見分け方 | フィルムを選ぶときの前提 |
|---|---|---|
| 単板(透明1枚) | 小口に層がなく金網もない | 選択肢がいちばん多いです |
| 網入り | ガラス内に金網が見える | 網入り対応と明記された製品だけを選びます |
| 複層(ペア) | 小口に2枚と空気層が見える | 不可と書かれた製品が多く、対応表記の確認が要ります |
| 型板(凹凸) | 片面がザラザラで模様がある | 凹凸面には密着しないため、平滑面側に貼るか凹凸対応品を選びます |
| Low-E複層 | ガラス面に薄い金属膜の反射がある | すでに遮熱層があり、重ね貼り不可の製品が多いです |
ガラスの種類が決まったら、次に窓の実寸を測ります。
フィルムは幅(cm)×長さ(m)の巻きで売られていて、窓ガラスの見える部分(ガラス面)より上下左右に数mmずつ余裕を見て切る前提です。
幅が足りずに継ぎ足すと、継ぎ目の線が正面から見えて目立ちます。
掃き出し窓のように幅の広い窓では、1本で足りるかを先に確認してください。
同じ「遮熱90%」でも製品ごとに数字がずれる理由
赤外線カット率は、測定に使う波長の範囲がメーカーごとに違うことがあります。
近赤外線の中でも特定の波長帯でのピーク値を「カット率」として載せる製品と、広い範囲の平均で載せる製品があり、前者のほうが大きな数字になりやすいです。
カタログの90%と別社の80%を横並びで比べても、同じ土俵ではありません。
そのうえで判断の順序を決めておくと迷いません。
まず、遮蔽係数または日射熱取得率が書かれている製品があれば、その数値どうしで比べます。
両社とも書いていなければ、赤外線カット率は参考程度にとどめ、可視光線透過率のほうを基準にしてください。
可視光線透過率は測り方のばらつきが小さく、しかも部屋の暗さという体感に直結します。
西日の強い部屋で暗くなってもよいなら透過率の低いもの、日中の明るさを保ちたいなら透過率の高いものという決め方が現実的です。
「赤外線カット率◯%以上」という条件だけで絞ると、可視光線透過率が極端に低い濃色フィルムに行き着くことがあります。数字の大きさではなく、どの数字を見るかを先に決めてください。
対応外のガラスに貼ると熱割れが起きる
遮熱フィルムは日射熱の一部をガラス面で吸収するため、貼った部分と貼っていない部分、日の当たる部分と影になる部分で温度差が生まれます。
この温度差が大きくなると、ガラスの内部応力で割れることがあり、これが熱割れです。
網入りガラスは中の金網が熱で膨張するため、もともと熱割れしやすい性質があります。
複層ガラスは中間の空気層に熱がこもりやすく、同じ理由でメーカーが不可としている製品が多いです。
ガラスの種類以外にも、実害はいくつかあります。
型板ガラスの凹凸面に平滑ガラス用の製品を貼ると、凸部だけが接して気泡が残り、数日で浮いて剥がれます。
窓枠より大きく切って枠に乗せる貼り方をすると、サッシの結露水がフィルムの裏側に回り込み、そこからカビが出ます。
賃貸で強粘着タイプを選ぶと、退去時にガラス面に糊が残って清掃費を求められることがあります。
そのため賃貸では、水で貼るタイプや貼り直しのきく吸着タイプを先に検討してください。カーテン側で対処するほうが原状回復の心配がない場合もあり、遮熱カーテンの選び方ではレースとの重ね方まで解説しています。
対応ガラスと数値はパッケージのどこに書いてあるか
店頭で確認する場所は決まっています。
パッケージの裏面か側面に、小さな表で「使用できるガラス/使用できないガラス」が並んでいます。
ここに網入り・複層・Low-E・すりガラス・型板ガラスの可否が個別に書かれているので、丸印だけを見て判断せず、自分の窓の種類の行を探してください。
表がなく「一般的な透明ガラス用」とだけ書かれている製品は、それ以外のガラスには使わない前提の製品だと考えてください。
遮蔽係数や可視光線透過率のような数値は、パッケージ表面ではなく裏面の仕様欄に載っていることが多いです。
通販の商品ページでは、写真のギャラリーの中にパッケージ裏面の画像が含まれている場合があり、商品説明文より詳しい情報が出ています。
見つからないときは、メーカー公式サイトの製品ページを型番で検索すると、仕様表にたどり着けます。
貼る前に確認しておく3点
- ガラスの種類(小口を見て、層の数と金網の有無を確認する)
- ガラス面の実寸(縦横をcmで測り、フィルムの幅で足りるかを見る)
- 貼る面の指定(室内側専用か屋外側も可か。屋外側専用品を室内に貼らない)
よくある質問
遮熱フィルムを貼れば冷房が要らなくなりますか
要らなくはなりません。
フィルムが減らせるのは窓から入る日射熱の一部で、壁や屋根から伝わる熱、換気で入る熱、室内の家電が出す熱はそのまま残ります。
西日の当たる部屋で体感が変わったというレビューは多い一方、北向きの窓のように日射がもともと少ない部屋では違いを感じにくいという声もあります。
網入りガラスに貼れる遮熱フィルムはありますか
網入り対応と明記された製品はあります。
ただし対応品であっても、日当たりの条件によっては熱割れの可能性がゼロにはなりません。
パッケージの使用可能ガラス表で網入りの行を確認し、貼る前に注意書きを最後まで読んでください。
判断がつかない大きな窓や高所の窓は、無理に自分で貼らず施工業者に相談するほうが安全です。
フィルムとすだれはどちらを先に試すべきですか
日射を窓の外で止められる環境なら、すだれやシェードのほうが日射熱をガラスに届かせない分、室温への影響が大きくなりやすいです。
ベランダやフックの取り付け場所があるかで選択肢が変わるので、吊るす場所から考えたい場合はすだれの掛け方で、窓の外に吊るす場合の固定方法を解説しています。
取り付ける場所がない窓や、視界と採光を残したい窓ではフィルムが向きます。
まとめ
遮熱フィルムを選ぶときは、大きく書かれた赤外線カット率ではなく、まず貼る窓のガラスの種類を確かめ、次に可視光線透過率で明るさの落ちかたを決めるという順序にしてください。
網入り・複層・Low-Eのガラスは対応品でなければ熱割れの恐れがあり、型板ガラスには凹凸用の製品が要ります。
数値の測り方はメーカーごとに揺れるため、社をまたいだカット率の比較にはあまり意味がありません。
ぜひ本記事のガラス種別の対応表と、貼る前に確認しておく3点を参考に、自分の窓に合う一本を選んでください。




